アートは心のサプリメント ~クレマチスの丘でアートダイエット~

心が弱っている時、アートは絶好の語り相手です。
仕事がうまくいかない時、失恋した時、人生悩んでいる時、
私は必ず音楽を片手に一人でアートに会いに出かけます。
今回は、静岡県の三島駅から車でおよそ25分。クレマチスの丘で、動植物と静かに語らい、まるで1本の映画を観たかのような写真に触れ、悲哀に満ちたベルナール・ビュフェの世界にどっぷりと浸るアートダイエットをしてきました。
そうです。アートダイエットができるのは、芸術祭だけではありません。
1か所訪れるだけで、アートダイエット(アートに会いに行くことを目的に、1日1万歩を目指して歩くダイエット)ができちゃう美術館はたくさんあります。
クレマチスの丘には、美術館が3館と文学館が1館あり、一度に4館楽しむことができるのです。
ここで半日たっぷり楽しむコースは一体何歩になるでしょうか。アートダイエットスタートです♪
動物たちとの静かで親密な語らい
まずは入り口に1番近いIZU PHOTO MUSEUMへ。
現代美術作家の杉本博司氏が内装や坪庭を手掛けた美術館です。
洗練された空間に写真作品がよく似合います。
現在、日本の美術館では初の個展となるヨヘン・レンペルト(Jochen Lempert, 1958-)の写真展「Fieldwork-せかいをさがしに」が開催中です。
動物や植物、昆虫、人間といった多様な生きものと自然現象をモチーフにしたモノクロフィルムによる作品が100点以上。
10年以上にわたる生物学研究を経てカメラマンになったレンペルトの手にかかると、木の葉の1枚までもがしっかり個性を主張していました。
次は、ヴァンジ彫刻庭園美術館へ。
開催中の企画展「生きとし生けるもの」展を鑑賞。
こちらもまた動物をテーマにした14名のアーティストによる作品が並びます。

三沢厚彦 《Animal 2013-01》 2013年 ©Atsuhiko Misawa
展覧会場の真ん中に立ち、ふと気配を感じて振り返ると、すっくと立ったヘラジカが。
あまりの存在感に思わず興奮してしまいました。
三沢厚彦さん(1961-)の木彫りの動物たちは、そのほとんどが実物と同じ大きさに作られていて、息遣いまでも感じる距離で鑑賞できます。
展覧会場へ一歩足を踏み入れた瞬間から、私たちは動植物たちとの静かで親密な語らいを体験することでしょう。
彫刻は絶好の心のサプリメント
絵画以上に彫刻は絶好の語り相手です。
時にゾクッとする程その時の自分の心境と似た表情をした彫刻や、仏のような微笑みで癒してくれる彫刻に出会えることがあります。

ジュリアーノ・ヴァンジ 《大きな人物像》 1994年

ジュリアーノ・ヴァンジ 《三つ編みの女》 1995年

ジュリアーノ・ヴァンジ 《後ろ手に立つ人物》 1994年
ヴァンジ彫刻庭園美術館には、イタリアの現代具象彫刻家のジュリアーノ・ヴァンジ(Giuliano Vangi)の彫刻作品が展示室内と庭園内に点在しています。
どんな時も変わらない姿で迎え入れてくれる彫刻たちは、最高の心のサプリメントです。

原種のシクラメンとジュリアーノ・ヴァンジ 《穴のあいた木と男》 1994年
また彫刻たちの佇む庭園では、四季折々の花々も楽しむことができます。
この最高に気持ちのいい庭に座って彫刻と思う存分語り合えば、きっとあなたも唯一無二の心の友を見つけられるはず!
2館チェックして、ここまでの歩数は4037歩。
クレマチスの丘は、クレマチスガーデンエリアとビュフェエリアに分かれています。
IZU PHOTO MUSEUMとヴァンジ彫刻庭園美術館はクレマチスガーデンエリアに、ベルナール・ビュフェ美術館と井上靖文学館はビュフェエリアにあります。
エリア間の移動は専用の無料バスの利用も可能ですが、今回はアートダイエットのため徒歩で移動しました。

エリア間の通りは緑がいっぱい!

歩くと揺れる吊り橋
徒歩15分程度と聞いていましたが、緑に囲まれた通りを歩き、川のせせらぎを聞きながら吊り橋を渡っていたらあっという間に到着。

井上靖文学館
ビュフェエリアではまず「真田軍記」展が開催中の井上靖文学館を訪ねました。
NHK大河ドラマ「真田丸」放送や映画「真田十勇士」公開など、真田イヤーの今年は、私も例に漏れず真田一族にどっぷりはまっております。(笑)
この展覧会では井上靖(1917-1995)の『真田軍記』の執筆資料や、真田に関わる戦国時代の作品についての展示もありました。
もちろん井上靖自身の歴史も見ることができます。
文学も、想像力次第で幾重にも広がる世界観に触れられるという点でアートだなと思います。単純に、完成された文章はただただ美しく、原稿も文章の響きもアートなのでした。
子連れにもやさしい美術館

ベルナール・ビュフェ美術館

ビュフェこども美術館

子供のアートな写真撮影もできちゃいます♪
最後はフランスの画家ベルナール・ビュフェ(Bernard Buffet、1928-1999)の作品を収蔵・展示するために創設された、ベルナール・ビュフェ美術館へ。
ここにはビュフェこども美術館という子供がアートを楽しめるエリアが設けられています。
ビュフェの作品が入っていた額の中でポーズをとったり、ビュフェの肖像画パズルで遊んだり、実際に触って体験して楽しむことができます。
これならもし途中子供が愚図っても駆け込み寺のようにビュフェこども美術館に行けば良いので子連れ美術館巡りも安心ですね~
さて、肝心な展覧会は「ロベール・ドアノーと時代の肖像-喜びは永遠に残る」展と「ビュフェと1940-1950年代 不条理に対峙する絵画」展を鑑賞しました。
初めて見た時、それがたった1枚あるだけで、その場が劇的に変わったことを鮮明に覚えています。
たった1枚で、映画を1本観たかのようなドキドキと高揚感を感じることができる作品がなんと今回約140点も一堂に会しているのですから、なんてお得な展覧会!
余談ですが、来日の際には必ず訪れたという銀座の鮨 青木には、ベルナール・ビュフェから送られたという絵が今も飾られています。

鮨 青木には「青木さんへ」と書かれたビュフェ直筆の絵が飾られています。
日本通なビュフェは、この美術館をこよなく愛し計7回も来日したそうです。
「素直な愛情をもって、絵と対話してほしい。絵画はそれについて話すものではなく、ただ感じ取るものである。ひとつの絵画を判断するには、百分の一秒あれば足りるのです」ベルナール・ビュフェ。
迷いなき鋭い線描は、なぜこんなにも悲哀に満ちているのでしょうか。
深い悲哀は慈愛にも似ています。ビュフェもまた心のサプリメントには最適です。
ここまでの総歩数は6769歩。
この後、もう一度クレマチスガーデンエリアまで歩き、ガーデン内のカフェで休憩する予定だったのですが、この日はここで閉館時間になってしまいカフェは断念。
最終的な総歩数は8353歩でした。
最後にクレマチスの丘に合わせて聴きたい1曲を♪
ドラマーでありながら、他の全ての音を自分で演奏し、歌も歌い、プログラミングまで行うマルチプレーヤーmabanua。
彼の音はいつもアートによく似合います。
あなたもアートにtalking to you!お試しあれ。
クレマチスの丘
オフィシャルサイト:http://www.clematis-no-oka.co.jp/
ヴァンジ彫刻庭園美術館
「生きとし生けるもの」展
会期:2016年7月24日(日)—11月29日(火)
オフィシャルサイト:https://www.clematis-no-oka.co.jp/vangi-museum/
ベルナール・ビュフェ美術館
「ビュフェと1940-50年代 不条理に対峙する絵画 第II期」展
会期: 2016年9月10日(土)―2017年3月5日(日)
「ロベール・ドアノーと時代の肖像 -喜びは永遠に残る」展
会期:2016年9月15日(木)‐ 2017年1月17日(火)
オフィシャルサイト:http://www.buffet-museum.jp/
IZU PHOTO MUSEUM
「ヨヘン・レンペルト Fieldwork — せかいをさがしに」展
会期:2016年10月28日(金)― 2017年4月2日(日)
オフィシャルサイト:http://www.izuphoto-museum.jp/exhibition/217877468.html
井上靖文学館
「真田軍記」展
会期:2016年9月1日(木)―2017年3月14日(火)
オフィシャルサイト:http://inoue-yasushi-museum.jp/
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